以前、このページでも紹介したHIGASHI-YAMA TOKYOを営むシンプリシティが新たにhikeの程近く、青葉台の目黒川沿いに和菓子屋"HIGASHIYA"を4月にオープンさせました。

"HIGASHI-YAMA TOKYO","BASSIN"(福岡)を手掛けたシンプリシティが次は和菓子屋さん・・
新たなコンセプトの基、どんな和菓子屋さんが完成するのか?もちろん、間違いなく美味しい甘味を食べること自体大きな1つの楽しみでありましたが、個人的には背景に興味がありました。和菓子屋を営むにいたる背景、ショップの内装、使用する器、サービスなどの全てにおいて非常に高い完成度をつくりだすその背景に。
 頭に描いた想像を一つのカタチに落とすことは非常に困難な作業です。

現実には多岐にわたる制約が存在し、質の高いものをつくるには必ず明確なコンセプトを必要とされるからです。その辺りも含め、シンプリシティの代表、クリエイティブデレクターである緒方慎一郎様にインタビューをお願いし、結果大変興味深い話を伺うことが出来ました。
 
 百聞は一見にしかずの言葉通り、実際肌で感じないことにはHIGASHIYAの空気感は伝えられません。是非実際に足を運んでみてください。そして細部にわたる完成度を感じて下さい。またスタッフに「これは・・・?」と質問してみてるといいでしょう。
きっと何か新しい発見があるはずです。
そして何よりゆっくりとした時間の中で和菓子を楽しんで下さい。

ハイク/須摩

構想から出店に至る経緯を教えて下さい。

SIMPLICITYのコンセプトから必然的に和菓子だなっていうのが"HIGASHI-YAMA"を始めてちょっとしたときからありました。
HIGASHI-YAMAっていうのはいわゆる食の、トータルな意味での1つのスタイルの提案みたいなノリがあったんだけど、SIMPLICITYは日本の伝統の再構築というものを一つの大きなテーマとしてもっていて、食という分野でそれを考えた時、和菓子はいわゆる伝統的なものを今の時代に適応させるものとして表現する題材として扱いやすいし、扱いたかった。だからもうずっと和菓子屋のイメージがずっと頭の中にあって、こういう風な和菓子屋をやりたいというイメージを持っていました。
2年間くらい様々な構想を練っていたんだけど、いろんな事情からあきらめそうになていたところ、たまたま物件の話がありました。本当は和菓子だけではなく和菓子と他のことを一緒にやろうと思っていたんだけど、和菓子だけを切り離して和菓子だけをスタートさせたいという気持ちが強くなってきたということとHIGASHI-YAMAと近い物件であったということから、それではすぐやろうということになったんです。ある意味それはそれでスタートできることで、ブランドがスタートするわけだから、今後和菓子についてはいろんな展開をしていこうと思っているんですが、立ち上げという意味では近くでこういうかたちでやるのもいいかなと思って、始めました。
"HIGASHIYA"という名前の由来は?

名前はずっと悩んでいてしっくりくるものがなかなかでてこなかったんだけど、やっぱりHIGASHI-YAMAというものをふまえてるけどふまえてないというか、HIGASHI-YAMAの○○じゃなく、でもHIGASHI-YAMAからの流れを匂わせたいということがまずありました。例えば○○庵とか、漢字でかっこいい、それっぽい名前ってあるじゃないですか、いろいろと面白い名前もでてきたんですよ。でも、なんかこうしっくりこない。それは考え過ぎてシンプルじゃないんだなと。考えれば考える程、普通に、シンプルにいったほうがいいという結論に至って、あんまりコンセプチャルになりすぎると頑張り過ぎちゃってつまらないかなという風に思ったんです。そういう中で、ふとした冗談からHIGASHI-YAMAだからHIGASHIYAでいいんじゃないという話がでて、ロゴをうってみたらしっくりくるし、そこからは後付けなんですが、和菓子屋だから和菓子屋HIGASHIYAっていうのもストレートだし、HIGASHI-YAMAが雰囲気、空間で、いわゆる「間」で売っていくようなものであるのに対して、
HIGASHIYAっていうのは直接的なモノで勝負になってくるじゃないですか。お菓子って一人歩きするし。そこにどれだけ空間とかサービスというよりも、買って持っていったらその後はそれが一人歩きしていくわけで、だからそういう意味で東山の「間」がないというのはいいんじゃないかなと。それからお菓子って、自分の中では日々のお菓子っていうイメージがあって、だから日々のお菓子で日菓子と。やっぱり日々毎日つくる普通に食べれる実直なお菓子というものをつくりたいという気持ちがあって、それが和菓子屋たるものかなと。それから東屋って「あずまや」とも読むでしょ。あずまやって屋根だけのほったてごやみたいな感じだけど、ここもそういう感じだし。(笑)いろいろ後付け!
後付けなんだけど、そのあたりがすごくピンときたんで、これはもう絶対だなと。HIGASHI-YAMAの和菓子屋でHIGASHIYAって言うと、ちょっとふざけてる感じがするけど、だけど真面目にやってるのが抜けてていいかなと。